ミレーナとは
黄体ホルモンであるレボノルゲストレルが付加された避妊リングで、挿入すると持続的にホルモンを放出するため5年間にわたって高い避妊効果が得られます。また、経血量が多い・月経痛が強いといった症状の緩和にも大きく役立ちます。
ミレーナとピルとの違い
避妊失敗率は、ピルよりもミレーナの方が低いことがわかっています。
また、ミレーナはピルと違って薬を毎日服用する必要がありませんし、リングは薬剤の作用する範囲が子宮周辺のみですから血栓症などのリスクもありません。副作用も起こりにくくなっていますでも、ピルの服用ができない喫煙者や40歳以上の方でもミレーナを入れることができます。
ただし、ミレーナには子宮外妊娠を回避する効果はありません。
ミレーナをおすすめしたい方
- 避妊のためのピル服用が困難な40歳以上・喫煙者・血栓リスクが高い方など
- 月経困難症や過多月経の方
- 子宮腺筋症・単純型の子宮内膜増殖症などのある方
※ミレーナは、子宮腺筋症の治療法として特に優れていることがわかっています。
ミレーナをおすすめできない方
- ミレーナの成分に過敏症を持っている
- 性器がんや黄体ホルモン依存症腫瘍の既往や疑いがある
- 月経以外に性器出血がある
- 子宮の形や位置に異常があると医師に指摘された
- 子宮腔の変形など先天的な異常がある
- 子宮内膜炎や卵管炎などの感染症がある
- 過去3ヶ月以内に性感染症になった
- 子宮頸管炎や膣炎の既往がある
- 骨盤内炎症性疾患(PID)になったことがある
- 過去3ヶ月以内に分娩後子宮内膜炎や感染性流産になった
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)を起こしたことがある
- 子宮口(頸管)の拡張で強い痛みや徐脈などを起こしたことがある
- 重い肝障害や肝腫瘍がある
- 現在、妊娠しているかは妊娠している可能性がある
ミレーナの効果
ピルよりも高い避妊成功率があって、しかも挿入したらなにもせずに5年間その効果が持続します。主成分のレボノルゲストレルが子宮内膜の増殖を抑制することで経血量もかなり減ります。生理が来なくなるケースも10%程度ありますが、排卵がなくなるわけではないため外した後の妊娠に悪影響も及ぼしません。
また、ミレーナに含まれる成分は子宮内膜だけに作用するため、ピル服用のように全身への影響が少なくなっています。そのため、ピルのリスクである血栓や吐き気などもほとんど心配ありません。
生理痛が強い月経困難症の改善にも大きく役立ちますし、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症で生理痛が重い場合にも高い効果が見込めます。
ピルでよくある飲み忘れもありませんし、喫煙や40歳以上などピルによる治療がおすすめできない方でも問題なくミレーナを入れることができます。
過多月経・器質性月経困難症の治療にも使われます
ミレーナには黄体ホルモンのレボノルゲストレルが付加されています。これが持続的にホルモンを放出することで子宮内膜の増殖を抑制します。ミレーナの挿入によって子宮内膜が薄くなるため、経血量が大幅に減少し、生理が楽になります。避妊目的でミレーナを入れる場合には自費となりますが、過多月経や器質性月経困難症といった疾患の治療でミレーナを入れる場合には健康保険が適用されます。
ミレーナのメリット
ミレーナの装着後は、黄体ホルモンのレボノルゲストレルが持続的に放出されて子宮内膜が育たなくなり、経血量が減少していきます。月経の回数も減っていき、約10%は月経がなくなります。ミレーナ装着中に生理がなくなっても、ほとんどの場合は妊娠や閉経ではありません。
ミレーナの副作用
起こる可能性がある主な副作用
月経出血日数延長・月経周期変化・卵巣のう胞発症・月経時期以外の出血・腹痛など
重大な副作用
骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、挿入時の子宮穿孔、卵巣のう胞破裂など
装着後数日間に現れる可能性がある症状
不正出血・下腹痛・腰痛・おりものなど
装着後3ヶ月~6ヶ月に現れる可能性がある症状
月経時期以外の少量出血
主な副作用や装着後に現れる症状は、日数が経過すると徐々に少なくなってほとんどが消失します。症状の現れ方や発現率、期間などは患者様によって異なります。
ミレーナでご注意いただきたいこと
脱出
正しい位置にあるかを定期的に確認するために、必ず定期検診を受けてください。(1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後、その後年1回)
なお、気付かない間の脱出に関しては、国内の臨床試験で装着後1年間の脱出率1.5%と報告されています。
糸を引っ張らないでください
子宮口付近には、ミレーナを取り外す際に用いる糸がありますが、この糸は絶対に引っ張らないでください。
装着に関するご注意
生理中に挿入することが多いのですが、その際には痛みがともなうことがあります。
ミレーナ挿入を慎重に考慮する必要がある症例
子宮腺筋症
子宮筋層厚が5cm以上ある場合には、月経困難症の症状改善効果を得にくいとされています。ミレーナ脱出率が上昇する可能性もあるため、慎重に検討します。
子宮筋腫
筋腫が2.5cm以上の場合、脱出リスクが高くなってしまいます。筋腫の種類は問いません。また、内腔突出率が10%以上の粘膜下筋腫、粘膜下筋腫がなくても筋腫自体が子宮内膜に近いと不正出血が続く可能性がありますし、脱出リスクも高くなってしまいます。
ミレーナの費用
ミレーナ挿入 ※1か月後チェック含む | 60,000円(税込) |
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ミレーナ抜去 | 30,000円(税込) |
※価格は全て税込です。